2005年06月21日
ルイジ・コラーニ(後編)
(中編より続く)
そして講演自体は合計2時間の予定なので、残り1時間15分は質疑応答に当てられる。質疑応答のほうが長い!
最初に質問されたのは「あなたのデザインを10年間追いかけてきました」とおっしゃる男性。
「10年前に初めて書店であなたの作品集を拝見し、その中でNASAと共同でデザインされたというシャトルのデザインの虜になりました。その時には所持金が少なかったので後に取り寄せた作品集がこれです、しかしこちらのほうはあの時書店で見たものより写真がかなり少なくなっていてとても残念です。そもそもあの作品集ですが…」「質問は簡潔に」「はい、それでは簡単に。これは本当に飛ぶんですか?」
あははははは! すげえ。それ私も訊きたかった!
その質問に対してコラーニ氏曰く「うん、飛ぶよ。私はNASAで長いこと航空力学の研究に携わっていて、その分野では第一人者だからね」
あははははは! 言い切った。流石だ。
これ以降も質疑応答は物凄いパワーで1問毎に図(勿論サイン入り)を交えながら進められる。そしてその内容としては質問を聞いて彼が喋りたいと思ったことを喋りたいように喋る、というもの。質問に対する明確な回答になっていることは殆ど無い。流石だ。
うーん、私もGUIデザイナーの末席に座る者としてコンピュータやシステム、家電のGUIに関してコラーニ氏がどのようなお考えを持たれているかお訊きしてみようかなあ、でもなあ、等と思っていると、斜め前に座ってらっしゃった男性が挙手をして「現在のコンピュータのインタフェースにおいて主流となっているウインドウシステムと、マウス、キーボードによる操作という構造についてどのようにお考えでしょうか」という質問をされる。おお。素晴らしい。
その質問に対してコラーニ氏は開口一番「先ず言っておきたいのは、コンピュータは実に下らないものだ、ということです」。あははははは!
そしてその後は集積回路が人間のような想像的な働きをするようになるには当分かかる。だからコンピュータは下らない。というような話を延々とされて、やはりこれっぽっちも質問には答えてくださらない。まあインタフェースなんて概念はコラーニ氏の中には無いだろうからなあ。
結局最後までその調子で、複数の質問をしようとした観客に「1問だけ」と限定したり、質問が長かった観客を途中で遮ってまた自分が喋りたいだけの話をしたり、とにかく最高。天才ってすごいなあ。
終了後、すっかり満足して会場を後にし、友人ティーに学校内を案内してもらってから車に乗せてもらい、ティーの奥さんのケイさんを迎えに行って4人で食事をする。
そしてその後、京都駅まで送ってもらい、最終のこだまに乗って帰宅。
疲れたけれども、楽しかったなあ。どの作品よりコラーニ氏本人が一番面白かった。本当に素晴らしい。
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